
こんにちは。学習PROJECT代表の富岡です。
今回は、共通テスト倫理の特徴と参考書について説明していきます。
「倫理」は、共通テストで受験する社会科目の一つです。
2025年新課程では「公共」の一分野とも重なってきます。
しかし、対策しようとなると意外にもやっかいな科目でもあります。
というのも、「倫理」を専門とする先生が学校にいなかったり、そもそも授業自体がなかったりすることが原因です。
今回は、そんな「倫理」について解説をしていきたいと思います。
この記事は、以下の方に有益な情報となっています。
・「倫理」を共通テストで使いたい受験生
・新課程「公共」の倫理分野に不安のある高校1年生
・大人の学び直しとして哲学の導入を知りたい社会人
・「倫理」のオススメテキストを探している学習関係者
それでは解説していきます。最後までお付き合いいただけると幸いです。
「倫理」とは?

そもそもまず「倫理」とは何でしょうか?
高校の課程において「倫理」は道徳の延長で、哲学の一歩手前くらいの位置づけです。
そのため、哲学の導入としても役に立つ科目です。
何を隠そう私も「倫理」の虜になった人間です。
高校在学当時、学校では「倫理」の授業がありませんでした。
しかし、独学で「倫理」の勉強をこなし、共通テスト模試(センター試験模試)・記述模試ともに全国1位を何度かとった科目でもあります。
(※もちろん、全国1位だの偏差値がいくらだなどは質の低い売り文句に過ぎません。あくまで、「倫理」にのめり込んだからこそお届けできる情報がある、ということです。)
この科目は、私としては最も大事な科目であると考えています。
というのも、歴史上の優れた天才たちの思想を学ぶことが出来るからです。
つまり、最も視野を広げることができる科目なのです。
どうしても我々は、自分がいかに狭い視野でしか物事を考えられていないかを忘れてしまいがちです。
こうした態度にガツンと反省を加えさせてくれるのが「倫理」という科目なのです。
今や、世界のエリート達はみな「哲学」を学んでいます。
哲学無き思考など、世界では通用しません。
これを「美意識」の側面から鋭く語っている本があります。必読書です。以下にリンクを貼っておきます。
対人関係などで悩んでいる人も、哲学者の思想に触れて180度考え方が変わった事例は数知れません。
そうした力をもつ科目なのです。
また、現代文を読むためのベースとなる知識の多くは「倫理」で学ぶことが出来ることも付け加えておきます。
共通テストでの位置づけ

「倫理」は共通テストにおける、社会(公民)科目のうちの一つです。
現行課程では、「倫理」または「倫理・政治経済」の二つの科目で扱われています。
どちらも選択科目であり、必ず共通テストで使わなければならないというわけではありません。
試験時間は60分です。
「倫理」と「倫理・政治経済」は以下のように大別されます。
倫理 | 倫理・政治経済 |
---|---|
①「倫理」のみの出題。 | ①「倫理」と「政治経済」からの出題。 |
②やや細かい点も出題される。 | ②「倫理」、「政治経済」の問題の一部で構成される。 |
③近年は資料の読み取り問題が増えている。 | ③近年は資料の読み取り問題が増えている。 |
④総じて平易。 | ④「政治経済」でつまずかなければ得点が見込める。 |
⑤地方国公立大学・中堅私立大学で出願可能。 | ⑤難関大学の選択科目としても出願可能。 |
「倫理」は他の社会科目と比べると、覚える量が少なくて済みます。
また、資料の読み取りも増えてきましたが、平易な資料が多く簡単に回答できるものが多いです。
中堅国公立大学狙いの受験生にはオススメの科目です。
また、「倫理・政治経済」はこれで1科目の扱いです。
受験生は「倫理」の勉強に加え、「政治経済」の勉強もする必要が出てきます。
とはいえ、歴史に比べると覚えることは少ないので、難関大受験生には人気の科目です。
所感としては、政治経済さえ攻略出来てしまえば高得点が見込める科目です。
また、2022年新課程では、「公共,倫理」として登場します。
このあたりの話は別記事に詳しくまとめてあります。
以下からご参照ください。
「倫理」、「倫理・政治経済」の平均点

各平均点は以下の通りになっています。
(※2015~の推移。2015~2020まで「センター試験」。2021から「共通テスト」。)
赤マーカー:やや易~易
青マーカー:やや難~難
【倫理】
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
53.39 | 51.84 | 54.66 | 67.78 | 62.25 | 65.37 | 71.96 | 63.29 |
総じて高い平均点で落ち着いています。
しかし、2015~2017の3年間は平均点が低いですね。
この3年間は「倫理」の転換期のような年で、いままでほとんど扱われなかった哲学者などが表立って出題されるようになったりしました。
また、単発の知識だけで解けていた今までの問題と異なり、読解を要する問題に切り替わるなどしたのも原因の一つです。
しかし、こうした事態にも対処できる参考書が出てきたことで、また元のように高い平均点が維持されています。
(※実は2014年以前はもっと平均点が高い年が多く、かなり簡単でした。)
【倫理・政治経済】
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
59.57 | 60.50 | 66.63 | 73.08 | 64.22 | 66.51 | 69.26 | 69.73 |
こちらも総じて平均点が高いですね。
ただひとつ注意してほしい点があります。
それは、そもそもの受験者のレベルが高い、という点です。
先にも述べたとおり、「倫理・政治経済」は難関大受験生御用達の科目です。
「倫理」や「政治経済」単体で受けられる大学を志望する人が、わざわざ「倫理・政治経済」で受験するとは考えにくいです。
そのため、平均点が高く出ているのです。
また、彼ら難関大受験生は下手に低い点数はまずもって取ってきません。
倫理のオススメ参考書

ここからは、学習順に沿ったオススメ参考書を紹介していきます。
主に以下の観点から紹介したいと思います。
・講義型参考書
・用語集
・資料集
・問題集
・補助テキスト
講義型参考書
まず、学習を始めるに当たって、倫理の分かりやすい説明が必要です。
初学者の第一歩目として紹介したいのが、『蔭山の共通テスト倫理』です。
こちらのテキストは講義形式となっています。
実際に授業を聞いているような説明になっており、難解な思想もスッと入ってきます。
また、要点をしっかりまとめてある「板書」も記憶の整理に役立ちます。
この参考書をきちんと覚えるだけで8割前後の得点が見込めます。
共通テストで8割とれたらたいていの大学は合格点です。
網羅性、厳密性といったものはこの参考書にはありません。
しかし、そもそもこの参考書のターゲットは初学者ですから、大きな役割はすでに果たしているのです。
用語集
続いて用語集です。
用語集は山川出版の『倫理用語集 第2版』です。
歴史をはじめ、社会科目で圧倒的シェアを誇るのが「山川出版」です。
この『倫理用語集 第2版』も良くまとまっています。
使い方としては、先に挙げた『蔭山の共通テスト倫理』で学んだ内容に、さらに補足を加える形で用語を調べていくと良いです。
『蔭山の共通テスト倫理』に直接「用語集○ページ」などと書き込んでおくのも良いかもしれませんね。
用語集というだけあって、圧倒的網羅度を誇ります。
高得点を取りたいのであれば、必携アイテムになるでしょう。
資料集
倫理の資料集は『ソフィエ』をオススメします。
というか、あまり倫理の資料集は出版されていません。
倫理の場合、歴史科目と異なり、そこまで資料集頼みにはなりません。
ただやはり、おさえておきたい資料や図解が豊富に載っているという点はかなり大きいでしょう。
近年では資料の読み取りも増えてきています。
そのため、倫理の資料には出来るだけ多く触れておくと良いでしょう。
問題集
問題集はこの二つをやると学習効果が高くなります。
それが『完全MASTER 倫理問題集』と「過去問」です。
過去問は当然やるべきとして、『完全MASTER 倫理問題集』が大切です。
この問題集は用語の確認と共通テスト問題を確認できます。
さらに、この問題集の「整理・要約」、「解明ポイント」は網羅度が高く、非常に役立ちます。
やはり勉強はアウトプットが中心になります。
ここでしっかりと知識を固めておくことで、過去問演習も質の高いものとなります。
補助テキスト
倫理を理解する上で最強の補助テキストがあります。
それが『哲学用語図鑑』、『続哲学用語図鑑』です。
正直これは絶対に「買い」です。
こちらは大学受験用参考書ではありません。
哲学コーナーなどに置かれている本です。
しかし、この本の中身は非常にユニークなものになっています。
というのも、難解な哲学思想がかわいいイラストになっていて直観的に理解できるつくりになっています。
ほとんどがイラストなので、読みやすく、記憶に残りやすいことも特徴です。
こちらは哲学を学び直したい大学生や社会人の方にもオススメのテキストです。
はっきりいうとこのテキストは必携アイテムです。
受験の、人生の必携アイテムだと思っています。
大学受験では補助テキストに回ることになりますが、買って損はない一品です。
倫理は狙い目の科目

いかがでしたでしょうか。
今回は倫理の特徴と参考書について説明しました。
「倫理」は大学受験では狙い目の科目です。
選択できる人はぜひ選択してみてください。
独学でも十分勉強できますよ。
もちろん、受験に限らず人生において重要な必須教養でもあります。
誰もが「倫理」を学ぶことができることを願っています。