【最新版】2024年共通テスト国語総評



富岡
富岡

学習PROJECT代表の富岡です。
今回は2024年共通テスト国語の総評を行ないたいと思います!



2024年1月13日(土)に、共通テスト1日目が行なわれました。
受験されたみなさん、本当にお疲れ様でした!!


ここでは、2024年共通テスト国語をレビューしたいと思います。
以下の方に見ていただきたい記事となります。

・2024年共通テストを受験した受験生
・参考資料を集めている受験関係者
・来年度受験を控えている方



⚫️オンライン指導依頼、お仕事依頼は以下よりお願いします。



それではみていきましょう!!

①出題内容

今回の出題内容を確認しましょう。
まずは下の表をご覧ください。

大問番号出典配点
第1問渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学―境界線上の音楽』50点
第2問牧田真有子「桟橋」50点
第3問「車中雪」(『草縁集』所収)50点
第4問杜牧「華清宮」(詩)
蔡正孫『詩林広記』(資料Ⅰ~Ⅲ)
程大晶『考古編』(資料Ⅳ)
50点

例年通り、評論、小説、古文、漢文の4題からの出題でした。
ですが、昨年と比べてやや変化のみられた点もありましたので、順を追ってみていきたいと思います!

第1問:評論

今年の評論の特徴は以下の通りです。

・文章1題からの出題
・漢字がやや難しいか
・理由説明問題がメイン
・文章展開、構成を問う問題が復活
・「推敲」をテーマとした資料問題


文章1題からの出題

本試験で2022、2023年と続いた文章2題構成の出題は、今回は見られませんでした。
複数テクストの問題は漢文に譲ったのでしょう。
そのため、例年に比べ文章を行きつ戻りつする作業は少し減ったものと思います。


これは推測の域を出ませんが、来年度に備えて文章1題にしたのかもしれません。
というのは、来年度から「実用的な文章」が追加され、そちらで複数資料の読み取りを試す可能性があるからです。


ともかく、今回は文章1題で済みました。

漢字がやや難しいか

今年は漢字問題がやや難しかったかもしれません。
特に「悪弊」や「紛れ」に対して適切な回答を選べたかどうか。


漢字の書き取りの練習はもちろん大切です。
ですが、ただやみくもに書くのでなく、漢字そのものの意味(特に訓読み!)をきちんと確認する癖をつけると記憶に残りやすいです。
漢字の持つ本来の意味を知っているのと知らないのでは大きく言語理解に差がつきます。


漢字の書き取り問題のみならず、言語感覚を身につける上でも漢字の知識は重要です。

理由説明問題がメイン

今年の問題は理由説明問題がメインとしておかれていました。
現代文には、2つの主流の設問があります。
それが、「どういうことか」「なぜか」です。


今回は「なぜか」に関する問題(理由説明問題)の方が多く、問2、4、6-(ⅱ)でそのタイプの問題が出題されました(問6では理由となる文の補充問題でした)。
こうした問題を苦手とする受験生には少し厳しいものだったかもしれませんね。


しかし理由説明問題は国語の王道を行く問題です。
普段から記述問題などでしっかりと対策をすることが大切です。

文章展開、構成を問う問題が復活

今年は問5に文章展開、構成の問題が見られました。
センター試験を彷彿とさせるものであり、このタイプを苦手にしている受験生も多いことでしょう。
もちろん過去に共通テスト2021第1問でも、問5で段落に関するちょっとした問題はありましたが、このときは吟味にさほど時間を要さない問題でした。


日頃から読解の中で、一歩引いて段落どうしの関係を確認する作業をいれているかどうかも大切な事項です。

「推敲」をテーマとした資料問題

目新しく映る資料系問題だったかと思います。
とはいえ、文章の前後の関係性に着目するだけで基本的には解けてしまう問題です。
こちらの問6を資料と考えて「複数資料」の読み取りとしたものと思います。


こちらを「新課程問題」とするのは少々微妙ですが、大学入試センターの試作問題「第A問」「第B問」を意識したのは間違いないでしょう。
ですがこのタイプはやや目新しいといった程度で、基本過去の共通テストの出題と地続きでしょう。


今回はグラフの読み取りなどはさせなかったので、来年度の受験者は専用のテキストで新課程問題に備えてください


第2問:小説

今年の小説の特徴は以下の通りです。

・現代小説からの出典
・語彙問題が復活
・表現に関する問題の出題
・対話問題の出題



現代小説からの出典

今年は現代小説(2017年発表)からの出題でした。
小説の出題では戦前、戦後付近のものが題材として選定されることが多いのですが、今回は異なりました。


とはいえ、現代小説であるがゆえに読みやすかったのではないでしょうか。
だからこそ、解く際には注意が必要になったかもしれません。


個人的には、難問や奇問のみられない、小説問題の王道を行く出題だったように受け止められました。



語彙問題が復活

第1問に語彙問題が復活しました。
一時影を潜めた語彙問題ですが、今年になって復活しました。
2021年に行なわれた最初の共通テストまではみられた出題であるため、今後も出題が予想されます。


特に今回は「やにわに」の意味が話題になりました。
文脈で解けるかと言ったら難しく、辞書的意味を問われていると考えた方が良いでしょう。
語彙は常日頃意識して覚えていくほかありません。


表現に関する問題の出題

問6で表現に関する問題の出題がみられました。
選択肢では「~されることで・・・」の形が並び、「・・・」が誤っている選択肢を選ばせる問題でした。


表現に関する問題もどちらかというとセンター試験を彷彿とさせるものであり、この時代から表現に関する問題を苦手にしていた受験生が多かったように記憶しています。


小説ではもちろん表現が命ですから、こうした出題はあってしかるべきです。
表現の問題までおさえた勉強をしたいところです。



対話問題の出題

対話問題は共通テストの出題にみられる形式ですが、今回は小説の問題で出題されました。
「資料」を読んで、本文の理解を深める狙いがあります。


今回も過去の出題同様小問(ⅰ)(ⅱ)の構成でした。
このタイプの問題では、(ⅰ)での解答が(ⅱ)での解答と連動するので、併せて取りに行きたい問題です。
今回は連動どころか(ⅰ)と(ⅱ)が同じことを言っていたので、(ⅱ)を用意した意図はやや不明瞭ですが、受験生からしたら得点しやすいものだったといえそうです。


第3問:古文

古文の特徴は以下の通りです。

・有名作品ではないところからの出題
・和歌に関する出題
・「桂」に着目した本文の読み取り問題



有名作品ではないところからの出題

今回は多くの受験生にとっては馴染みのない作品からの出題でした。
とはいえ、文章自体の難度はそこまで高くなく、作品を知らなくても当然解けるように配慮されたものだといえます。


リード文はあるものの、本文出だしでどのような場面なのかやや読み取りに苦労した受験生もいるかもしれません。
しかし、読み進めて行くにつれて徐々に内容がつかめていけたはずです。

和歌に関する出題

昨年に引き続き、和歌に関する出題が見られました。
和歌は古文の生命線でもありますから、今後も出題は考えられます。


基本的に細かい知識云々よりも、和歌の本文上での位置づけをしっかり踏まえた読み取りが求められています。
文脈をカットして誤答しないように注意しましょう。


「桂」に着目した本文の読み取り問題

問4の資料問題は、「桂」を巡った本文理解の深化を図る問題でした。
多くの受験生は知らないテーマの話なので、資料の流れに沿って答えていく形になります。


ただ実際には、結局のところ本文の読み取りが出来ていればよい問題です。
与えられた文章をよみこなす、きちんとした訓練がなされていればさほど解くのに困らない問題でしょう。



第4問:漢文

漢文の特徴は以下の通りです。

・漢詩の知識の出題
・複数資料の読み取り



漢詩の知識の出題

問1で漢詩の形式についての出題がありました。
過去にも出題がされていたので、そこで正確な知識を身につけていた受験者は大丈夫だったかと思います。


「絶句」なのか「律詩」なのか、どこで韻を踏むのかまでは漢詩の基礎知識なのでしっかりおさえたいですね。
漢詩は引き続き出題がみられそうなので、来年度受験者は対策を万全にしましょう。

複数資料の読み取り

今回は漢詩の他に、漢文で書かれた資料が4つ出題されました。
これら資料を基に漢詩の理解を深める狙いでしょう。


ですが、資料ⅢとⅣを比較検討する問題もみられました。
資料どうしをきちんと精査することも求められていることがわかります。


総じて漢文も、基礎的な読解力に基づいた試験であったといえます。

②今年の難易度

みなさんが気になるのは今年の難易度でしょう。
各種予備校も速報を出しているのでそちらも参考にしてみてください。
ここでは学習PROJECTの評価を乗せておきますのでご参照ください。


大問番号分野難易度
第1問評論標準
第2問小説やや易
第3問古文やや易
第4問漢文やや易
全体やや易


全体としては今年は「やや易」の判定です。
高得点を狙えた受験生も多いのではないでしょうか。


とはいえ分量面でいえば、難易度は標準としてもよいかもしれません
現代文が分量的には多いと思います。
80分という試験時間を最大限利用することになるかと思われます。


参考までに今年の目標点をざっくりですが載せておきます。

大問番号分野得意普通苦手
第1問評論403225
第2問小説423630
第3問古文423225
第4問漢文454032
全体167140112
各大問の配点はすべて50点、計200点



こちらはあくまでも目標点で、一つの大問で大きく失点してしまったりすると結果はもちろん変わってきます。
ただ間違いなく昨年比で平均点は上がるでしょう。

③来年度に向けて

来年度受験を考えている方は、この記事を参考にしつつ以下のことにも留意しておきましょう。


・大問として設置される実用的文章の対策をしておく
・制限時間内に解く訓練を早めにしておく
・古典を素早く解き終えられるように訓練しておく



何事も早めの分析と動き出しが大切です。
来年度受験生は今から共通テストに向けて動き出しましょう。



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